海外ポスドクになる方法と現地フェローシップ

ポスドク(Postdoctoral Researcher; 博士研究員)のポジションは世界中に無数にあるので博士号さえ持っていれば容易になれる(なりたいかどうかはもちろん人による)。日本から海外のポスドクを目指す際に多くの人はまず第一に海外学振をとることを目指すと思うが、少なくともアメリカに関しては、応募先のラボがある程度以上に研究費が潤沢であれば応募者側に明らかに問題がない限り(例えばコミュニケーションに極端に難がある、前所属で何らかの問題を起こしたなど)フェローシップ無しでもポスドクに応募して落ちることはまずない。“研究費に困っていない"ラボの主宰者(PI)が、応募してくるポスドクを断る理由がほぼないのである。論文が 1 本もないからと言って海外ポスドクを諦める人をたまに見かけるが、アメリカには論文無しで学位をとってポスドクやってる人なんて山ほどいるから基本的には問題にはならないと思う。従って、海外ポスドクになりたい場合はいくつか研究費が潤沢そうで“良さげなラボ”の候補を決めてとりあえずメールを送ってみるのが良いと思う。ラボの PI のもとにはかなり多く(数十から 100 以上)の迷惑メールが届くので(メールアドレスを論文の責任著者として各論文誌の web サイトに公開しているため)、返信がなくともめげずに何度も送って見るのが良い。もちろんメールを送る前に学会などで顔見知りになっていればなお良いと思う。 海外ポスドクになる方法 海外ポスドクになるには、1) フェローシップ無しで現地のラボに直接応募する(アメリカでは最も一般的)、2) 海外学振を獲得する、以外にも 3) 現地のフェローシップを獲得するという方法がある。現地のフェローシップというの国や地域、そして各研究機関が出しているフェローシップのことである。フェローシップ獲得のメリットは、お給料が同じ研究機関のポスドクよりも 100 万円前後高くなる(特に各研究機関が出している場合)のと、アカデミックキャリアを目指すのであれば研究費獲得実績と言う点でプラスになることである。デメリットは倍率が高い(例えば 30 倍-100 倍以上)のである程度は運である点である。例えば私が知っている物理関連分野で応募できるものをぱっと上げると Pappalardo Fellowship (MIT, 物理分野) Miller Research Fellowship (UC Berkeley, 基礎研究全般) Kavli Institute at Cornell Postdoctoral Fellowships (Cornell, ナノサイエンス) Materials Science Postdoctoral Fellowship (Princeton, 材料科学) Elings Prize Fellowship (UC Santa Barbara, ナノサイエンス) 地域・国単位だと例えば Marie Skłodowska-Curie Fellowship (ヨーロッパ) Banting Postdoctoral Fellowships (カナダ) などがある。 要求される応募書類 photo by Annie Spratt on Unsplash...

September 8, 2021