公募状況のうわさ

PI ポジションを目指している人なら公募の状況、例えばどの大学に誰が面接まで残っているのか、という情報を知りたいのではないだろうか。アメリカの物理関連分野では、そうした公募情報の"うわさ"を掲載している web サイトがある。CM/AMO Rumor Millである。公募情報はもちろん、誰がどの大学の面接に呼ばれたか、誰がオファーを受け、誰が断ったかなどが書いてある。※あくまで"うわさ"である。

July 23, 2021

海外版逆評定

東大に在学していた頃は時代錯誤社が発行している「逆評定」という邪神・大鬼・鬼・仏・大仏・神などの指標で学生が大学の先生を評価するキャンパスマガジンにとてもお世話になったが、そのような媒体は欧米圏(主にアメリカ)でも存在するらしい。Rate My Professorsという web サイトである。 ちなみに現ボス(ポスドク時代のボス)の評価はこちらである。

July 21, 2021

アメリカ生活ミニマムセットアップ(ポスドク@サンタバーバラ版)

初めてアメリカに来たのは、修士 1 年の頃、アメリカ物理学会@デンバー(APS March Meeting)に参加したときのことだった。それから 4 年半後にアメリカ(カリフォルニア・サンタバーバラ)で生活することになるとは夢にも思ってなかった。 photo by OC Gonzalez on Unsplash サンタバーバラは海がとてもきれいなリゾート地である一方、リゾート地であるが故に田舎なので例えばニューヨークやボストン、ロサンゼルスなどと比べたらほとんど日本人がいない。もちろん知り合いなどもいなかった。そのためネット上で日本語で検索できる情報にはかなり限りがあり、事前準備や生活のセットアップで未知数なところがいろいろあった。そこで、もしサンタバーバラを含め、アメリカの都市部/田舎でポスドクなどを始める場合に参考になればと思い、そして自分が万が一またアメリカに行くことになった場合の備忘録として自分の場合の(でもある程度汎用的な)海外生活ミニマムセットアップを書き残してみる。 渡米前 ビザの取得(渡米 2-3 ヶ月前 ビザが無ければ入国できないので最重要事項である。ポスドクで行く場合はJ1 ビザが必要。取得は他の H1B などの労働ビザに比べたら圧倒的に簡単。普通は落ちないらしい。詳細情報/必要書類は公式 webを参照。DS2019(滞在/労働許可証のようなものでビザと同程度に重要)などの必要書類を大学から手に入れたら(大学の事務は遅いことがあるので、必要であればリマンドを絶えず送ったほうが良い)、面接の予約が埋まってたりするので例えば出国 2-3 ヶ月前に準備を始めるほうが良い。 ※以下の渡米前の準備は必ずしも必須ではないし、個人の価値観に左右される部分だと思う。私は渡米直後の面倒を最小限にするために行った。 銀行口座の開設(渡米 1-2 ヶ月前) 銀行口座は渡米後にももちろん開設できるし、その場合は Chase 銀行が人気である。私は渡米後の面倒を 1 つ減らすために渡米前に日本にいながら現地のユニオン・バンクの口座を開設できる三菱 UFJ 銀行のパシフィックリム・カンパニーベネフィット・プログラムを利用した。日本に本帰国後も口座を閉じる必要はなく利用可能である。 家探し(渡米 1 ヶ月前) 家探しは渡米後でもできるし、実際の部屋を見てから決めたいという人も多くいると思う。私は決め打ちでどんとこい派なので日本から契約できるなら契約したかった。ネットで調べるといろいろな方法があるが、例えば大学関係者の場合は"大学名 Housing"で検索すると専用の web がある場合があり、そこから探すこともできる。私は UCSB の housing 専用サイトから探して、渡米前に決め打ちで契約した。すでに現地の口座とそれに付随するクレジットデビットを持っていたので契約は楽だった。サンタバーバラの治安の良さは日本と同等以上なので(サンタバーバラはアメリカではない、と言われるくらいに治安が良い)、家の場所を考える際に治安はそこまで考慮しなかったけど、そうでなければ治安が比較的に良い場所の部屋を借りるのが良いと思う。部屋タイプとして単身または夫婦で住む場合は、Studio(日本で言うところの 1K)かone bedroom(日本で言うところの 1LDK)がちょうど良いと思う。2021 年のサンタバーバラの平均家賃は Studio で 1000-1500USD/月、one bedroom で 1500-2000USD/月くらいである。(毎年値上がりしている。) 荷物を船便で発送(渡米 3 週間前) 家が決まったので、必要な荷物を現地の住所にクロネコヤマトの海外引越単身プランで送った。ダンボール 9 箱分のミニマムコースで料金はおよそ 10 万円。服や下着、靴(現地だとサイズが合わないかもしれないので)、デスクトップ PC、モニター x2, 炊飯器(大半のものは渡米後に揃うけど、ご飯が食べたい人は炊飯器は日本で買って送ったほうが良い気がする)、シャンプー、リンス、ボディーソープなどを送った。場合にもよるが、平時であれば 1 ヶ月程度で届く。本などは渡米前に可能な限り PDF 化した。...

July 16, 2021

アメリカで歯の神経を抜いた話

結論 よく調べて良い歯医者を選ぼう アメリカで歯の神経を抜く(根管治療)と保険適用で約 4 万円(私の場合) 事の始まり 渡米前に歯医者に行って虫歯などがあれば早めに直しておくように。というのよく耳にする先達からのアドバイスではあるが、私もこれに従い、渡米 3 ヶ月前あたりから家から近い歯医者に行き始めた。 photo by Ozkan Guner on Unsplash 歯科医院なんてどこでもそんなに変わらないだろうとレビューをよく確認せずに治療を受けたのがが運の尽き。それほど深くない"はずの"虫歯(場所は左下の奥から 2 番目)の歯を部分的に削って治してもらってセラミックの詰め物(セラミックインレー)をしてもらったまではよかったが、いつまで経っても痛い。(セラミックインレーは保険適用外なので 1 つあたり約 5 万円。)食べ物を噛んだら痛い。噛まなくても痛い。アルコールを飲めばもっと痛い。当初はかみ合わせが合ってないからとかセラミックインレーをつける際の接着剤(のようなもの)が歯にしみているから、痛みを引き起こしているなどと説明され、痛み止めを処方されたが、痛み止めがきれればまた痛くなるというように一向によくならない。その時点で神経が傷ついたのではないかと思ったが、渡米直前にややこしい状況になるのは避けたかったのでその治療を受けた医院で神経の話題は出さなかったし、他の歯科医院にも行かなかった(もし虫歯が神経に達していればかなり痛いはずだが、私自身は冷たいものや甘いものを食べてもしみたりはしていなかった。実際にどれくらい虫歯が深かったかは治療を担当した歯科医にしか分からない。) 渡米後 さてそんなこんなで渡米まで——ならましだったのだけれど、新婚旅行で行ったボラボラ島でも、そして残念ながらに 2018 年 10 月に渡米してからも歯の痛みは続き、サンタバーバラのポスドク生活は歯の痛みとともに始まった。(ポスドク生活はまた別の記事にしようと思う。)この痛みが続いている間は市販の痛み止めの代表である EVE など(実際に使っていたのはその中でも特に強そうな EVE QUICK DX)を 6-8 時間間隔で常に服用していた。アメリカ生活が始まって 1-2 ヶ月くらいは、全く新しい環境で、全く異なる言語での環境で、種々の手続きをしたり装置の使い方を覚えたり、文字通り毎日を生きるのに精一杯で歯の問題に関しては忘れつつあった。当時はよく調べもせずにアメリカの医療費は高いという先入観(日本と比べて高いのはかなり事実)からアメリカの歯科医に行くことは選択肢に入ってなかったし、半年後か 1 年後か次に日本に帰国するときに保険適用外でもどこかましな歯科医に診てもらおうと思っていた。実際に生活に支障が出るほど痛むわけでもないし、そのうち治るんじゃないかという淡い期待さえあった。 事は 2019 年 1 月 11 日に起こった。その日は朝からいつにも増して歯が痛かった。ラボから帰って来たのは夜 10 時ごろ。その帰宅直後に立っていられないくらいの激痛で自分の部屋で蹲ってしまった。例えてみるなら、麻酔なしで歯をドリルで貫通させている感じ。その劇的な痛みが続いたのは 5 分か 10 分くらいで、突然その痛みはかなり和らいだ。そのとき私は、あ、これは神経が逝ったんじゃないかと悟った。とはいっても仕事中にまたこの痛みがきたら作業内容的に危険なので急いで歯の神経を専門に扱っている歯内治療専門医(Endodontist)を検索して、今回はちゃんとレビューにも目を通し、web 上での評判が素晴らしかったDr. Patmoreにメールを送って、保険適用可能かどうかだけ聞いて、運良くすぐにアポをとることができた。 根管治療を経て photo by Ozkan Guner on Unsplash アポをとった当日に訪問し、レントゲン写真をとってもらい、診察を受けると開口一番「こりゃ神経が死んでますね」だった。(多分"Your nerve is dead.“みたいな簡単な表現だったのでこの英語だけは聞き取れた。それ以外は専門用語のオンパレード…)根管治療自体は 1 時間程度で終わったと思う。アメリカでの歯科医も神経を抜いたのも全てが人生初で、心の中では後は野となれ山となれ状態だったのでこのあたりの記憶は結構あいまいである。英語の説明は全くわからなかったけれど、治療が終わって会計に進むと保険適用後の治療費が 4 万円というの見て、とりあえずほっとしたのを覚えている。治療費が高いアメリカなら 20-30 万くらいは請求されるんじゃないかと戦々恐々としていたので。ちなみに保険適用前の治療費は 20 万円くらいだった。何はともあれ、治療は無事終了し、この日から歯の痛みから開放されてようやく本当のアメリカ生活が始まった。渡米から既に 3 ヶ月と少し経ったころであった。

June 15, 2021